自社ローンは返済条件や審査基準が一般的なローンと異なるため、仕組みがわかりにくいと感じる方も多いでしょう。

とくに金利や審査の通過条件、販売店ごとの対応も異なるため混乱するかもしれません。

本記事では自社ローンの仕組みをわかりやすく解説し、メリットや注意点も紹介します。

自社ローンの仕組みを理解して、自分に合った選択肢で安心して車を購入できるようにしましょう。

自社ローンの仕組みとは？

自社ローンは、販売店が独自に提供する分割払いの仕組みです。

通常のローンとは異なり、信販会社を通さず販売店が直接代金を立て替えます。

以下で、自社ローンの詳細な仕組みについて解説します。

販売店が購入代金を立て替える

自社ローンの最大の特徴は、中古車販売店が購入者の代金を立て替える点にあります。

通常の銀行ローンやディーラーローンでは、ローン契約は信販会社や銀行が提供する仕組みですが、自社ローンでは返済先が販売店そのものです。

この仕組みは「自社割賦」とも呼ばれ、購入者は販売店に直接分割で分割で返済していきます。

信販会社を通さずに審査する

自社ローンでは、信販会社や銀行を通さず販売店が独自に審査を行います。

銀行ローンやディーラーローンの場合はCICやJICCといった信用情報機関に照会を行い、過去の延滞履歴や現在の借入状況を細かくチェックします。

しかし、自社ローンでは販売店が独自の基準で購入者の返済能力を判断するのが特徴です。

この仕組みのメリットは、過去にクレジットカードの滞納や自己破産の経験がある方でも審査に通りやすい点です。

販売店は購入者の現在の収入状況や返済能力に重点を置くため、信用情報に傷がある方でも柔軟に対応してもらえる可能性があります。

ただし信販会社を通さないことで販売店が返済リスクを負うため、保証人の用意や頭金の支払いが求められるケースもあります。

また独自基準による審査のため、販売店によって審査通過の可否が異なる点にも注意が必要です。

審査履歴に残らないことがほとんど

自社ローンは通常のローンと異なり、信用情報機関に審査履歴が残らない場合が多いです。

なぜなら、自社ローンではCICやJICCなどの信用情報機関を照会しない仕組みが採用されているためです。

落ちてしまった場合でも審査の履歴は残らないため、安心して申し込めるでしょう。

金利がない

自社ローンの特徴として「金利がない」と説明されることが多くありますが、これは販売店の多くが貸金業の資格を持たないためです。

貸金業者ではない中古車販売店が金利を設定して利益を得る行為は法律で禁止されているため、自社ローンでは「金利0％」と紹介されていることが一般的です。

しかし、金利が発生しない代わりに、基本的に手数料や保証料が車両本体価格に上乗せされています。

そのため、銀行ローンやディーラーローンよりも総支払額は高くなる傾向であり、「金利ゼロ」だからといって支払いが安く済むわけではない点に注意が必要です。

契約前には総支払額をしっかり確認し、オートローンやディーラーローンと比較して納得したうえで利用しましょう。

自社ローンの仕組みはやばい？

自社ローンは柔軟な審査基準や金利0％が魅力ですが、その仕組みはメリットだけではありません。

自社ローンの注意点やデメリットを解説するため、利用を考えている方はチェックしておきましょう。

保証人が必要になる

自社ローンを利用する際には、保証人を求められるケースが多く見られます。

これは販売店側が、購入者の返済リスクを軽減するための措置として行われるものです。

保証人を立てることで、万が一購入者が支払えなくなった場合でも、販売店が損失を被るリスクを抑えることができます。

一般的に保証人は親族や近しい知人が求められますが、保証人を準備できない場合は審査に通らないこともあります。

また、保証人を立てられない場合は保証会社の利用を求められることがあり、その際の保証料が追加費用として発生するため気を付けましょう。

保証人や保証会社の条件を事前に確認し、必要な準備を整えておくことが重要です。

GPSを装着される場合がある

自社ローンを利用すると、一部の販売店では車にGPSが装着される場合があります。

販売店は返済が滞った際のリスクを軽減するため、GPSを利用して車両の位置を特定したり、遠隔でエンジンを停止することができる仕組みを導入しているからです。

この措置により販売店は管理を強化できますが、購入者にとってはプライバシーの侵害や自由な車両の利用が制限される懸念があります。

また、GPS装置の装着費用や通信費が上乗せされて総支払額が高くなるため、契約前に装着の有無や費用についてしっかり確認しましょう。

GPSなしの自社ローンについてはこちら

金利相当額を車両価格にプラスされる

自社ローンは「金利0％」と説明されますが、実際には金利相当額が車両価格に手数料や保証料として上乗せされるケースがほとんどです。

具体的には車両本体価格の10％～20％が加算されることが多く、総支払額がオートローンやディーラーローンより高くなる傾向があります。

契約前には提示された車両価格が適正かどうかを確認し、ほかのローンと比較しながら検討することが大切です。

高級車はローンの対象外になる可能性がある

自社ローンを取り扱う販売店は一般的な中古車を対象としており、高級車や輸入車はローンの対象外とする場合が多いです。

高級車は車両価格が高額になるため、販売店にとって未払いのリスクが増大するからです。

さらに自社ローンは返済回数が12回～36回程度と短期間に設定されることが多いため、月々の返済額が高額になりやすく、高級車の購入には適しません。

高級車や外車を希望する場合は、銀行ローンや信販会社を通じたローンの利用を検討するほうが現実的です。

支払完了まで車の名義は販売店のまま

自社ローンでは、車両の名義がローン完済まで販売店に留保されます。

この仕組みを「所有権留保」と呼び、購入者が支払いを完了するまで所有権は販売店に残ります。

所有権がない状態であれば、購入者はローン完済まで車を自由に売却したり乗り換えたりすることができません。

この制約を理解したうえで、計画的に返済を進めることが重要です。

すべての販売店で自社ローンを利用できるわけではない

自社ローンは柔軟な審査基準で利用しやすい一方で、すべての中古車販売店で提供されているわけではありません。

提供する会社は増加傾向にあるものの、自社ローンを取り扱う販売店が近くにない場合は選択肢が限られるでしょう。

さらに、取り扱いがあっても販売店ごとに条件やサービス内容が異なるため、選べる車種やローンプランが制限されるケースも少なくありません。

たとえば、一部の販売店では特定の車種に限定されていたり、頭金や保証人が必要な条件が設定されていることもあります。

そのため、自社ローンの利用を検討する際には、近隣の販売店で取り扱いがあるかを事前にリサーチしておくと安心です。

自分の条件に合った最適なプランを選ぶためにも、下調べをしっかり行いましょう。

信販会社が仲介する仕組みの自社ローンもある！

自社ローンといえば、販売店が購入者の代金を直接立て替える「自社割賦」のイメージが強いですが、信販会社が仲介する仕組みの自社ローンも存在します。

この仕組みは「信用回復ローン」と呼ばれることもあり、ローン審査に通りにくい方でも利用しやすいプランとして注目されています。

一般的に信販会社が仲介する自社ローンでは販売店と複数の金融機関が提携し、購入者に対してオートローンに近い形態で車両の提供が可能です。

信販会社を通じて契約するため、完済後に信用情報が回復して次回以降のローン審査に良い影響を与える点がメリットです。

とくに自己破産や債務整理を経験した方、転職直後で安定した収入が証明しにくい方にとって、このローンは新たな選択肢となります。

自社割賦で提供している販売店よりも審査に通過する確率は低くなりますが、銀行ローンやディーラーローンよりは高いため、気になる方は検討してみましょう。

大手中古車販売店の自社ローンの仕組みを解説！

大手中古車販売店の自社ローンの仕組みを解説します。

販売店ごとの口コミも紹介するため、どの会社にしようか悩んでいる方は参考にしてください。

じしゃロン

引用：じしゃろん

運営会社	株式会社IDOM
店舗	全国46店舗
保証人の有無	要問い合わせ
頭金の有無	要問い合わせ

じしゃロンは、車買取や販売を行う大手企業「ガリバー」が提供する自社ローンサービスです。

このローンでは、信販会社を介さない独自審査が行われるため、他社のローン審査に通りにくい方でも利用しやすい点が特徴です。

また、柔軟な返済プランが組めるのも魅力の一つですが、具体的な金利や手数料は事前に確認しておきましょう。

オトロン

引用：オトロン

運営会社	オトロンカーズ株式会社
店舗	全国17店舗
保証人の有無	必要
頭金の有無	不要（適用条件あり）

オトロンは、幅広い車種の購入に対応した自社ローンを提供しています。

このサービスの特徴は、手続きが簡単で、最短で即日審査が完了する点です。

また、初期費用を抑えたい方や月々の返済額を軽減したい方に適したプランも用意されています。

ただし、支払総額や名義変更の条件については事前に詳細を確認することをおすすめします。

スリークロス

引用：スリークロス

運営会社	株式会社スリークロス
店舗	全国に12店舗
保証人の有無	原則不要
頭金の有無	原則不要

スリークロスでは、オートローン・自社ローン・NEWオートローンの中から、お客様に最適なプランをご提案しています。

とくにNEWオートローンは信販会社を通じた仕組みで、完済後には信用情報の改善が期待できる点が魅力です。

また、国産全メーカーの新車をお得に購入できるプランも用意しており、新車購入を検討している方にとって理想的な選択肢を提供しています。

まとめ

自社ローンは中古車販売店が提供する分割払いの仕組みで、銀行や信販会社を介さず販売店が直接審査・契約を行います。

この仕組みにより信用情報に不安がある方や、銀行ローンが通らなかった方でも利用しやすい柔軟な審査が魅力です。

自社ローンでは金利は設定されませんが、その代わりに車両価格に手数料や保証料が上乗せされるため、総支払額が高くなることが一般的です。

また、返済期間が短期に設定されるため、月々の負担が大きくなりやすい点にも注意しましょう。

自社ローンを利用する際は手数料や条件を事前に確認し、ほかのローンとも比較検討することが大切です。

自分の状況や返済能力に合ったプランを選び、車を購入しましょう。