自社ローンとは販売店が独自に提供するローンで、審査に通過しやすいのが特徴です。
しかし、審査が通りやすい分「返済条件が厳しいのではないか。」「金利が高いのでは?」などと、不安に思うかもしれません。
本記事では、自社ローンのデメリット7選を詳しく解説します。
メリットや自社ローンの利用が向いている人の特徴も紹介しているため、最後まで読んで自社ローンに関する理解を深めましょう。
「やばい」と言われる自社ローンのデメリット8選!
自社ローンのデメリットは以下の8つです。
それぞれ分かりやすく解説します。
1.総返済額が高い
自社ローンのデメリット1つ目は、総返済額が高いことです。
自社ローンには金利が設定されていないため表面上は「金利ゼロ」とされていますが、実際には手数料や保証料が上乗せされることが一般的です。
自社ローンで金利が設定されない理由は、多くの販売店は貸金業者ではないため、法律上金利を取ることができません。
その代わりに、手数料や保証料を車両本体価格に上乗せする仕組みを採用しています。
これらの費用は車両本体価格の10%~20%に相当する場合が多く、総支払額が割高になる原因です。
また、車両価格自体を相場より高めに設定している販売店もあり、最終的なコストが予想以上に膨らむ可能性もあります。
自社ローンを利用する際は総支払額を事前に把握し、ほかのローンとも比較することが重要です。
2.月々の返済額が高くなりやすい
自社ローンのデメリット2つ目は、月々の返済額が高くなりやすいことです。
自社ローンでは、返済回数が12回~36回と短期間に設定されることがほとんどです。
なぜなら、販売店が購入費用を直接立て替える仕組みのため、長期返済では未払いリスクが高まります。
このリスクを抑えるために、短期間での完済を求める傾向があります。
一方で銀行ローンやディーラーローンでは、返済回数を60回や120回に設定できる場合もあり、月々の支払額を抑えることが可能です。
たとえば、150万円を60回払いにすると月々の支払額は25,000円ですが、自社ローンで24回払いにすると62,500円となり、負担が大幅に増えます。
返済回数が少なければ1回あたりの支払額が増えて家計を圧迫するため、無理のない返済計画を立てることが重要です。
3.完済できるまで車の所有権がない
自社ローンのデメリット3つ目は、完済できるまで車の所有権がないことです。
自社ローンで購入した車の所有権は販売店側に留保されるため、返済が完了するまで車を自由に売却したり買い替えたりすることはできません。
また、販売店が経営破綻した場合は車が差し押さえの対象となるリスクもあるため、気を付けましょう。
こうした制約を十分に理解したうえで、自社ローンを検討することが大切です。
4.購入できる車が限られる
自社ローンのデメリット4つ目は、購入できる車が限られることです。
自社ローンを取り扱うのは中古車販売店のため、新車を購入できるケースは限られます。
また、自社ローンではローン限度額が低めに設定される場合が多く、高額な車種や新しいモデルを選ぶことも難しくなります。
さらに中古車は新車と比べて故障するリスクも高まるため、整備がしっかりしている販売店かどうかもチェックしておきましょう。
5.保証人を求められる
自社ローンのデメリット5つ目は、保証人を求められることです。
自社ローンは過去の信用情報に問題があっても利用しやすい反面、販売店側が返済リスクを負う仕組みです。
そのリスクを軽減するために、保証人を立てることが条件となる場合があります。
保証人は利用者が支払えなくなった際に返済義務を負う立場のため、親や配偶者などの近しい親族に依頼するのが一般的です。
しかし、保証人を用意できない場合には、審査に通過するのが難しくなる可能性があります。
保証人不要のプランを提供している販売店もありますが、頭金を求められたり選べる車が限定されたりするなど、条件が厳しくなることが一般的です。
自社ローンを利用する際は保証人の有無やそのほかの条件を含めて販売店と相談し、契約内容を十分に理解することが重要です。
6.車にGPSを取り付けられる場合がある
自社ローンのデメリット6つ目は、車にGPSを取り付けられる場合があることです。
未払いが続いた際には、GPSやMCCSと呼ばれる遠隔制御システムを活用してエンジンを停止させる可能性もあるため気を付けましょう。
この措置は販売店にとってリスク軽減につながる一方で、購入者にはプライバシーへの懸念や車の自由な利用が制約される点がデメリットです。
また、GPSの取り付け費用や通信費が総支払額に上乗せされるため、事前に確認しておくことが重要です。
7.支払いが滞ると引き揚げられる
自社ローンのデメリット7つ目は、支払いが滞ると引き揚げられることです。
前述のとおり、車両に装着されたGPSを活用して購入者の居場所を特定し、車を引き揚げることもあります。
仕事や生活で車が欠かせない場合は、このリスクは大きな負担となります。
自社ローンを利用する際は支払い遅延によるリスクを十分に理解し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
8.販売店が倒産すると車を回収される
自社ローンを利用している場合、販売店が倒産すると車を回収されるリスクがあります。
ローンが完済するまでは車の所有権が購入者ではなく販売店にあるため、販売店が倒産すると資産として車を回収されるためです。
購入者がどれだけローンを支払っていても、所有権が販売店にある限り車が引き揚げられるリスクを回避することは難しくなります。
倒産リスクを考慮しつつ、信頼できる店舗でローン契約を進めるよう心がけましょう。
自社ローンにメリットはある?
自社ローンのデメリットを解説しましたが、メリットもあります。
ここでは自社ローンのメリットを解説します。
審査に通過しやすい
自社ローンは、柔軟な審査基準で通過しやすいのが特徴です。
銀行系ローンやディーラーローンと異なり、自社ローンはCICやJICCなどの信用情報機関への照会を行わない場合が多いため、過去に信用情報に傷がある方でも審査に通る可能性があります。
また、現在の収入状況を重視する独自の基準を採用しているため、ほかのローンよりも柔軟に対応してもらえるケースが多くなります。
信用情報に不安がある方や通常のローンで断られた方にとって、自社ローンは有力な選択肢です。
車を早く購入できる
自社ローンは申し込みから納車までスピーディーなため、早めに車を手に入れたい方にも適しています。
銀行ローンでは審査に数日から数週間かかる場合がありますが、自社ローンは信用情報を照会しない分、審査が当日中に完了することも珍しくありません。
急ぎで車が必要な場合でも自社ローンを利用することで、申し込みから数日以内に車を手に入れられるケースもあります。
総支払額や返済条件の確認は必要ですが、時間をかけずに車を購入したいときに自社ローンは便利な選択肢です。
金利がかからない
自社ローンは金利が設定されていないため、総支払額が明確になり返済計画を立てやすいのが特徴です。
自社ローンは販売店が直接お金を貸し出す仕組みのため、貸金業の資格を取得していない限り金利を設定することは違法となります。
ただし金利がかからない代わりに手数料や保証料が10%~20%ほど車両本体価格に上乗せされているため、実際の総支払額は高くなる点に注意が必要です。
返済金額が分かりやすいのは魅力ですが、金利がかからないとの理由だけで安易に判断しないようにしましょう。
自社ローンに向いている人の特徴
自社ローンに向いている人の特徴は、以下の5つです。
それぞれ解説します。
信用情報に不安がある人
自社ローンは、過去の信用情報に不安がある方でも利用しやすいのが特徴です。
自社ローンは現在の収入状況を重視するため、返済できると判断されると審査に通過する可能性が高まります。
たとえば過去に滞納歴や自己破産の経験があった方でも、現在の収入が安定していれば自社ローンを通じて車を購入できた事例もあります。
ほかのローンに落ちた方にとって、自社ローンは車を購入するための現実的な手段でしょう。
就職・転職して間もない人
自社ローンは、勤続年数が短い方でも利用しやすい点が特徴です。
オートローンでは勤続年数が1年以上であることが望まれるため、就職・転職して間もない方は審査に通りにくくなる可能性があります。
しかし、自社ローンでは販売店が独自の審査基準を設けているため、勤続年数に関係なく通過することも珍しくありません。
安定した収入が見込めると判断されると、短期間の勤続年数でも審査をクリアしやすい仕組みとなっています。
非正規雇用の人
自社ローンは、非正規雇用の方でも利用しやすいローンです。
一般的にアルバイトやパート、派遣社員などの非正規雇用の方は、収入の安定性が低いとみなされて審査が不利になることがあります。
しかし、自社ローンは継続的な収入が確認できれば利用可能な場合が多くなります。
販売店独自の審査基準を採用しているため、正規雇用に限定されず柔軟に対応してもらえる点がメリットです。
ほかにローンを組んでいる人
自社ローンは、複数の借入れがある方でも利用しやすい特徴があります。
一般的なローンでは返済負担率(年収に対するローン返済額の割合)や総量規制の影響で審査に落ちることがあります。
総量規制とは、貸金業者からの借入れが年収の3分の1までに制限される規制のことです。
たとえば、年収360万円の場合は借入れの合計は120万円までに制限されます。
複数の借入れがあると上記の規制を超えやすくなるため、新たなローン審査で不利になることがあります。
しかし、自社ローンは総量規制の対象外であり販売店独自の基準を採用しているため、他社での借入れが多くても利用可能なケースも珍しくありません。
自社ローンは複数の借入れがある方にとって便利な選択肢ですが、返済負担率を考慮した無理のない返済計画が重要です。
すぐに車が欲しい人
自社ローンは、早急に車が必要な方にも適した選択肢です。
審査結果が数十分で出る販売店もあり、納車までスムーズに進みます。
時間をかけずに車を手に入れたい方にも便利な手段です。
デメリットを踏まえて自社ローンの申し込み時に確認すべきこと
自社ローンのデメリットを踏まえたうえで利用を検討している場合は、申し込み時に以下の内容を確認しましょう。
契約後のトラブルを防ぐためにも、事前にチェックしておきましょう。
初期費用
自社ローンを利用する際には、初期費用の確認が欠かせません。
車両本体価格以外にも登録費用や保険料、税金といった諸費用が必要になるため予想以上に高額になるケースがあります。
また、自社ローンでは頭金を求められる場合も多いため注意が必要です。
事前に販売店で総額を確認し、予算を超えないよう無理のない計画を立てることが大切です。
支払い回数
自社ローンを利用する際は、支払い回数を事前に確認することが重要です。
一般的に自社ローンでは返済回数が短期(12回~36回程度)に設定されるので、月々の返済額が高くなる傾向があります。
ただし販売店やプランによっては支払い回数を柔軟に調整できる場合もあるため、事前に支払い回数を確認しておきましょう。
車両本体価格が相場と比較して適正か
自社ローンを利用する際には、車両本体価格が相場と比較して適正かどうかを確認することが重要です。
自社ローンでは金利が発生しないプランや審査の柔軟さが特徴ですが、車両本体価格が相場よりも高めに設定されている場合があります。
あまりにも相場とかけ離れている販売店では、安心して取引ができません。
しっかりとリサーチしたうえで販売店を決めると良いでしょう。
GPSが装着されるか
自社ローンを利用する際、車にGPSが装着されるかどうかを確認することは重要です。
販売店はローン未払い時のリスクを軽減するため、車にGPSを装着する場合があります。
GPSによって車両の位置を特定し、未払いが続いた場合に対応できる仕組みを導入しているからです。
ただし、GPSの装着が契約条件に含まれる場合は、販売店は利用者にその内容を説明する義務があります。
この情報が不明確であればプライバシーの懸念や装着・取り外しに関する費用負担が発生する場合もあるため、事前に確認しましょう。
保証内容
自社ローンで購入する車の保証内容を確認することは、安心して利用するために必要です。
新車の場合はメーカー保証が適用されることが多いですが、中古車では保証が限定的な場合があります。
とくにローン返済中に発生した故障やトラブルが保証対象であれば、追加費用が発生するため注意が必要です。
保証内容を事前に確認することで、購入後のトラブルを防げるでしょう。
まとめ
本記事では、自社ローンのデメリットを解説しました。
基本的にオートローンと比較して総支払額が高く、また返済回数も少ないため月々の費用負担は大きくなります。
しかし、自社ローンは販売店独自の基準で審査されるため、ほかのローンで通過しない方でも通る可能性があり、車を購入したい方には大きなメリットです。
デメリットを踏まえたうえで、自社ローンに申し込むか検討しましょう。